東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用動物科学専攻/応用生命化学専攻
動物細胞制御学研究室

2017年5月30日更新

教員

准教授 高橋 伸一郎(農学博士)

助教  伯野 史彦 (理学博士)

特任准教授  片岡 直行 博士(理学)

主な研究テーマ

1) インスリンやインスリン様成長因子の生理活性(インスリン様活性)の新しい発現機構・調節機構の解明

2) インスリン様活性調節機構の異常により発症する種々の疾病の制御法の開発

3) 栄養シグナルを利用したインスリン様活性の調節法の開発

動物は体表面を覆う上皮細胞、生体防御に関わる免疫系細胞、器官の機能を統合する神経系細胞、物質代謝の制御を司る内分泌細胞など、さまざまな形態と高度に分業化した機能を持つ細胞で形成されています。個々の細胞は他の細胞と協調して増殖や分化、細胞死、特異機能の発現が巧妙に調節されています。この調節機構に不具合が生じると、がんや免疫疾患、内分泌疾患などの病気が発症し、生体としての存続が危ぶまれことになります。

動物細胞制御学研究室では生体の調節機構を、細胞生物学を中心に、分子生物学、生化学、組織学、発生工学などの広範な手法を用いて解明するとともに、人類に役立つ新しい生命科学の技術開発を目指しています。とりわけ生体から分離培養した動物細胞を人工的な環境下で飼い慣らし、無限とも思われる細胞の能力を引き出して将来役に立つ研究を指向しています。

現在、私達は、主にインスリンやインスリンに構造が類似したインスリン様成長因子(IGF)に注目して研究を進めています。これらの生理活性(インスリン様活性)の合目的的かつ緻密な調節が、正常な発生・発達、成長・成熟、代謝制御、老化に重要であることが明らかになっています。この活性が過剰に抑制されれば、成長障害、糖尿病、脳神経変性疾患、動脈硬化、骨粗鬆症などを、逆に過剰に増強されれば、過成長やがんを発症します。したがって、一生にわたってこの活性を適度な範囲に調節することが、健康寿命の延伸に重要になるわけです。また、これらのホルモンの分泌は、アミノ酸をはじめとした栄養因子によって調節されています。当研究室では、これらの調節機構を、転写制御・スプライシング制御・RNA安定性制御・翻訳制御・タンパク質安定性制御・タンパク質分子内修飾制御・タンパク質間相互作用制御・細胞内局在制御など、分子レベルで明らかにし、それを利用して種々の疾病の解除法の開発を推進しています。また、この機構は、線虫からヒトに至るまで保存されている重要な機構であることから、哺乳類だけに限らず、地球上の生物が共生していくための研究や高品質な食資源動物の開発も進めています。

このような研究の実現のために、分野そして国境越えた共同研究を実践しています。最近は、数理学的観点も加え、「分子から生理を理解する」というreverse physiologyを目指しています。

当研究室は動物生命システム科学専修・応用動物科学専攻を主に担当していますが、応用生命化学専攻からの研究室配属も可能になっています。

詳しい研究内容などについては、動物細胞制御学研究室のホームページ詳細版をご覧になってください。

参考

高橋伸一郎、伯野史彦、亀井宏泰、Leonard Girnita、Ignacio Torres-Aleman、東祐輔、福嶋俊明、柴野卓志、尾添淳文、山中大介 2013 解説:インスリン様活性と高齢化社会で克服すべき疾病 化学と生物 51: 389-399

高橋伸一郎「農学入門」第三部10章「農学と動物科学:巨大な細胞社会を統御する仕組みを知り利用する」養賢堂

Hakuno F, Fukushima T, Yoneyama Y, Kame H, Ozoe A, Yoshihara H, Yamanaka D, Shibano T, Sone-Yonezawa M, Yu B-C, Chida K, Takahashi S-I. 2015 The novel functions of high-molecular-mass complexes containing insulin receptor substrates in mediation and modulation of insulin-like activities: Emerging concept of diverse function by IRS-associated proteins. Frontiers in Endocrinology. Volume 6 Article 73, doi: 10.3389/fendo.2015.00073


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