研究内容

プロジェクト1(1)

IGF生理活性の増強メカニズムを明らかにする

 IGFの生理作用のひとつの特徴として、一般にIGF単独の生理活性は弱く、他のホルモン・成長因子・細胞外マトリクスなどの存在下で活性が著しく増強されることを挙げることができます (表4)。 多くの細胞の増殖・分化は同時にIGFに誘導されるのですが、どちらの活性が発現するかが他の因子のクロストークで制御されているのは、ある生理条件下で特定の作用が発現するための「安全機構」であると考えることもできます。したがって、IGFの生理的意義を明らかにするためには、他の因子によるIGFシグナルの増強機構、言い換えれば他の因子とIGFのシグナルのクロストーク機構を解明し、どのような条件で広範な生理活性のうちどの生理活性が発現するのかを明らかにすることが必要です。この増強は、培養細胞系ばかりではなく、私たちの生体の中でも実際に起こっていることが、臨床的にも明らかにされています。

 私たちの研究グループでは、内分泌細胞・神経細胞・筋肉細胞・脂肪細胞などをモデルとして、どのような細胞内シグナル伝達機構を介して、様々な細胞外因子がIGFの増殖・分化誘導活性の増強を引き起こすかについて研究を進めています。

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表4 IGFsの生理作用が他の成長因子・ホルモンなどの細胞外因子によって相乗的に増強される例

 このように、IGFの生理活性が発現するためには、他の因子の共存が必須で、この仕組みを使って、IGFの広範な生理活性の中で、特定な活性を、特定な組織で発現できるものと考えられる。 したがって、IGFの生理活性発現機構を明らかにするためには、他の因子によるIGFの生理活性修飾機構を解明する必要がある。

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