研究内容
私たちの研究のゴール
このように、IGFやインスリンといったホルモンの活性は、自身の合成・分泌で調節されているだけでなく、それぞれの時期や組織において、体外・体内の環境に応答した細胞内シグナルとのクロストークによって精密に制御されています。この緻密な調節機構によって、正常な生体の発達・成長・成熟・機能維持・老化が、初めて可能となっているわけです。しかし、この調節機構に異常が起これば、病気に陥ることになります。ここまで紹介してきたような研究を通して、私たちの研究チームは、IGFやインスリンの新しい活性調節機構の解明、そしてこれが動物の一緒において生体の恒常性の維持に果たす役割を明らかにすることを目指しています (図23)。 インスリン様シグナル伝達のメカニズムは、先に触れたように、実は無脊椎動物から保存されており、これが脊椎動物へと進化してきた仕組みです。それぞれの動物で、このシグナル系が持つ意義を明らかにすることは、代謝の観点から動物の進化を知る上でも、極めて重要な研究テーマです。インスリン様ペプチドの比較内分泌学的研究への展開を目指して、この観点からも研究を進めたいと思っています。
これらの研究の多くは、国内・外の研究者との共同研究で進めています。これらが解明されれば、細胞の新しい増殖・分化制御機構、あるいは個体の新しい発達・成長制御機構、そしてその進化が明らかとなるばかりではなく、ホルモン抵抗性が原因の疾病の治療やこれらを解除する薬剤の開発に貢献できると期待しています。
我々の研究グループでは、標的細胞において、他の細胞外因子によって起こるIGF/インスリンシグナルの修飾機構を明らかにすることにより、ホメオスタシスの制御機構の解明を目指している。このような基礎研究の成果をもとに、再生医学、疾病の治療薬の開発や治療法の開発などに貢献していきたいと考えている。
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